No.235 子どもと共に育つ保育士が信頼されるために大切なこと

保育士という仕事は、単に子どもを預かるだけでなく、その成長を見守り、保護者や地域社会と連携しながら子どもたちの未来を支える責任ある役割です。では、「理想の保育士」とはどのような人物像なのでしょうか?日々子どもと向き合う中で求められる資質や態度、そして保育士自身が成長し続ける姿勢について、多角的に見ていきます。
子どもの気持ちに寄り添い、信頼される存在であること

理想の保育士に最も必要とされるのは、子どもの目線に立って気持ちを理解し、寄り添える力です。子どもはまだ言葉で上手に感情を表現できないため、ちょっとした表情や行動から心の動きを感じ取り、適切に対応する「観察力」と「共感力」が求められます。たとえば、泣いている子に「泣かないの!」と抑え込むのではなく、「悲しかったね」「寂しかったんだね」と気持ちに共感することで、子どもは安心感を持ち、信頼関係が築かれていきます。このような対応ができる保育士は、子どもの心の発達に良い影響を与え、自己肯定感の土台を育てることにもつながります。
保護者としっかり連携し、家庭と園をつなぐ架け橋になる

理想的な保育士とは、子どもだけでなく、保護者からも信頼される存在であるべきです。日々の連絡帳やお迎え時のやりとりで、子どもの様子を丁寧に伝え、保護者の不安や疑問にも耳を傾けることで、「この先生なら安心して任せられる」と感じてもらえるようになります。特に共働き家庭が増える中、保育士は単なる“預かり手”ではなく、“育児のパートナー”としての役割が期待されています。保護者との関係がうまく築ける保育士は、子どもの育ちを家庭と連携して支えられる強力な存在になります。逆に連携が不十分だと、些細な誤解がトラブルに発展することもあるため、コミュニケーション力の高さは欠かせません。
専門性を持ち、継続的に学び続ける姿勢
保育の仕事は日々変化する現場です。子ども一人ひとりの個性や背景は異なり、対応も画一的ではありません。また、虐待や発達障がい、外国籍の子どもへの配慮など、保育士に求められる知識とスキルは年々広がっています。そのため、理想の保育士は「学び続ける人」であることが重要です。たとえば、研修や講座への参加、保育関連の書籍や論文の読解、園内での勉強会など、自ら進んで情報を取りに行く姿勢がある保育士は、現場でも頼られる存在になります。また、制度や保育指針の変化にも敏感であることも重要です。保育所保育指針や幼保連携型認定こども園の制度変更など、国の方針に沿った運営を理解しておくことで、専門職としての責任を果たすことができます。
チームの中で協調性を持ち、助け合える姿勢
保育は一人で完結する仕事ではありません。同じクラスの担任同士や、主任・園長、事務職員、調理員など、多くの人と関わりながらチームで動くことが求められます。理想の保育士とは、協調性を持ち、チームの一員として動ける人物です。忙しい時に「手伝いますよ」と自然に声をかけられる、他の先生のアイデアを取り入れてより良い保育を作っていける、そうした姿勢は職場全体の雰囲気を良くし、子どもたちにも安心感を与えます。保育士同士がピリピリしている園では、子どもも敏感にその空気を感じ取ってしまいます。また、理不尽なことに対しても冷静に対応できる精神的な安定も求められます。感情に振り回されず、職員間の信頼関係を大切にすることが、長く働き続けられる秘訣でもあります。